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あめふらし
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長野 まゆみ (2006/06)
文藝春秋
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 半分くずれた薬玉が浮かんでいる。破れたところから菊花が零れ、真っ白な花びらが水面をおおう。風に吹かれ、岩陰に寄せてゆく。仲村は花びらを手のひらですくいとって、月燈のもとでながめた。銀を被せた小さな舟のようでもある。月にみちびかれ、列をなして潮路を亙ってゆく。流れのはてに人らしき影があった。よく見れば、獅子頭をかぶっている。緋色のたてがみをなびかせて遠のく。それとも龍頭なのか。鈴の音がひびいた。
(「やどかり」)

長野まゆみさん新刊です。相変わらずまず装幀が素敵だ。
艶めいた奇譚が8編。連作です。もう情景が美しくて美しくて…。「やどかり」が一番好きです。
物語の密やかな感じと端麗な文章に酔います。まさに雨の日に読んでしっとり沁みる。やっぱり好きだ!
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07/22 23:13 | よみもの | CM:0
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