羽貫さんは「ふん」と鼻を鳴らし、身体を起こした。「いいよ。どこへなりと行っちまえッ」と、妙に芝居がかった口調で言うと、彼女はぺッと唾を飛ばした。 哀れなのは熊のぬいぐるみであった。 (「四畳半自虐的代理代理戦争」) この世に生を受けて四半世紀になる黒髪の乙女がおまえの本を読んでいるが何か。と無駄に喧嘩を売ってがたがたぶるぶる震えあがらせてもちぐまを奪い取りたい…。 大変に面白い小説でした。前作『太陽の塔』と同じく情けない京都の大学生の不毛な学生生活のお話。全4話から成り立ちます。すべて登場人物、時間軸、各種パーツは同じ、起承転結もほぼ同じ(起結と途中いくつかの文章も同じ)なんですが、これだけ縛りの多い中でここまで多くのバリエーションを描けるというのはとてもすごい! しかも最終話「八十日間四畳半一周」ではそれまでの3話分の謎が解け、さらにほんの少し新たな展開を見せるという手の込みようです。前作でも魅力だった飄々とした文章はさらにすっとぼけて、読んでいると色々なことがどうでもよくなってしまう。和みます。 * コメント *
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