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黎明に叛くもの
黎明に叛くもの 黎明に叛くもの
宇月原 晴明 (2006/07)
中央公論新社

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「祈祷に入る。何人たりともここに入れるな」
 手にした書状に灯明の火が移る。赤い炎の帯を、久秀は宙に波打たせた。いつの間に整えたか、ならべられた黄白色の蝋燭の上に、書状は燃えながら舞い落ちる。円を描いて、ならぶ蝋燭に火が灯った。本堂の闇の底が、甘く香り、ゆらめく炎に埋められる。
 炎の円の中心に、久秀は青い獣毛の長衣をまといゆらりと立った。
(「黎明に叛くもの」II 第四章 暁星落つ)

歴史・伝承に、中東の伝承を織りまぜた奇想天外な歴史伝奇小説です。決して歴史の真実ではないことがわかっていながら、巧みな構成と美しい文章に酔って気持ち良く騙されてしまうのです。とにかく全編通して美しく哀しい。上に引用した場面をはじめとして、ひとつひとつの情景があまりにも麗しく目眩がするほどです。
すべてを読み終えたとき、タイトルの「黎明に叛くもの」の意味がようやくわかるのですが、わかったときの感慨といったら! 感嘆のため息をつくことしかできません。

さて、私の好みに正直な感想としたら、とにかく主人公の久秀です! 幼くしては美少年、長じて後は美青年、老いさらばえても美老人と、おまえどこまで美形なんだー!と悶えてしまうほどです(笑)。肌が白いとか華奢な肩だとか唇は赤くうるんだ瞳だとか、これでもかというほど可愛い。そんな可愛い久秀が、謀略をめぐらし妖しの法を駆使してあらゆるものを手に入れていきます。しかし、彼が一番望むものだけは、絶対に、決して手に入れることができないのです。美麗で可哀想な久秀。たまらん……!
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03/06 22:36 | よみもの | CM:0
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