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太陽の塔
太陽の塔 太陽の塔
森見 登美彦 (2006/05)
新潮社
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 昔、飾磨氏の下宿で映画を見ていた時のことである。
 それは古典的な青春映画だった。主人公たちは高校生で、あるスポーツに打ち込んでいる。(中略)夏の合宿、ともに過ごす最後の夜に、部員の一人がこう呟く。
「この時間がずっと続けばいいのに」
 我々は床にごろんと濡れた丸太のように寝転がり、煙草を吹かしながらテレビを見ていたのだが、飾磨氏はそのとき身体を起こし、静かに反論した。
「続いてたまるか」
 我々が好んで始めた闘いと言えど、疲れることもあった。
(「太陽の塔」)

持て余す自意識と根拠の不明確な自信と反骨精神。毅然としていじらしく、情けない青年の姿はいくらか自分と重なる部分もあり、そうでない部分もあり。そうでない部分というのは、果敢に闘いを挑んでは返り討ちに遭い、それでも愚かしく挑み続ける姿勢です。私は闘わずして白旗をあげてしまうので……彼の愚直な誇り高さを愛しく思います。
飄々として程よく気の抜けた文章はついつい笑ってしまう可愛らしさですが、例えば夜の路地の間から走り抜ける電車の灯りを眺める場面や、その電車の中に彼女の姿を見つける場面の文章は哀切で淋しい。この作者が本気で心血を注いだ文章を読んでみたいと思いました。他の作品にも手を出してみようと思います。
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02/12 18:45 | よみもの | CM:0
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